有償独占業務と無償独占業務(2)

 前回は、独占業務について書きましたが、今回は、では労働社会保険諸法令に関する書類は誰が作成して誰が提出できるのかについて書いていきたいと思います。基本的に関わりのある士業は4種類です。

 当然ながら、自分の書類を出すのに資格はいりませんし、自分の会社の書類を、所属している社員さんが出すのにも資格はいりません。

 

1.弁護士

  弁護士については、社労士法第3条第2項に次のように記載があります。

 

 社労士法

 第3条(資格)第2項

  弁護士となる資格を有する者は、前項の規定に関わらず、社会保険労務士となる資格を有する。

 

  したがって、登録をすれば問題なく業務を行えます。

 

 

2.公認会計士

  社労士以外の方が、業として社労士業務を行う場合には、まずは社労士法第27条を見る必要があります。

 

 社労士法

 第27条(業務の制限)

  社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事

  務を業として行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限り

  でない。

 

  つまり、他の法律で定められていれば業として行っていいことになります。さて、次に社会保険労務士法施行令を見ると、その詳細

 が記載されています。

 

 社労士法施行令

 第2条(業務の制限の解除)

  法第27条ただし書の政令で定める業は、次に掲げる業務とする。

  1 公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法第2条第2項に規定する業務

  2 税理士又は税理士法人が行う税理士法第2条第1項に規定する業務

 

  ということで、公認会計士法では次のように記載されています。

 

 公認会計士法

 第2条(公認会計士の業務)第2項

  公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務

  に関する調査若しくは立案をし、または財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業

  務を行うことが制限されている事項については、この限りではない。

 

 最後の一文が気になりますが、財務に関する業務の一環として行う社労士業務は合法ということでしょう。

 

 

3.税理士

  税理士は、上記ただし書で同じように制限解除されています。

 

 税理士法(一部抜粋)

 第2条(税理士の業務)第1項

  税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。

  1 税務代理

  2 税務書類の作成

  3 税務相談

 

  と、税務に関する付随業務として社労士業務を行うのはOKということです。税務に関することといえば年末調整、年末調整といえば

 社会保険料控除ということで、個人的には社会保険の算定や、労働保険料の年度更新も、保険料を確定させる行為として付随業務と考 

 えられますただし、提出代行と事務代理が付随業務ではなというところなのではないかと思います。書類は作成してもいいです 

 が、提出に行ったり、問い合わせに答えることは出来ません。年金事務所などの調査はご自身で対応することになります。 

 

 

4.行政書士

  行政書士は、昭和55年9月1日以前は、社労士と同様に労働社会保険諸法令に基づく申請書や帳簿書類の作成を行えました。

  しかし、相互の業域を明確にする必要から、「行政書士法の一部を改正する法律」が施行され、原則として、社労士法で制限されて

 いる事務については、業務として行うことができないこととされました。

 

 行政書士法

 第1条の2(業務)

  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業と

  する。

 2 行政書士は、前項の書類であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことが

  できない。

 

  第2項の「他の法律」というのに社労士法が入っています。

  なお、「行政書士法の一部を改正する法律」附則2項には、経過措置として、昭和55年9月1日に現に行政書士会に入会していた行政

 書士は、社労士法に規定する業務の制限を受けないとされています。ただし、提出代行や事務代理等は除外されています。

 

 

 ということで、労働社会保険諸法令に関する書類については

 

 すべてお任せできる  → 弁護士、公認会計士、社労士

 作成だけお任せできる → 税理士、一部の行政書士

 

 となります。今後、電子申請が主流になると、誰が電子申請を代理で行えるかも重要になりそうです。

 

 ご精読ありがとうございました。